<精霊の祝福:サイロン>

世界の窮地を救ったと言われる銀の戦士が生まれ、そして亡くなったとされる地域に、
銀の戦士を祝福していた精霊達を信仰する者達が集まり成立した国家。
銀の戦士は様々な精霊の祝福を受けていて、神秘的な魅力を兼ね備えていたと言う。
銀の戦士の残した子供もまた精霊の祝福を強く受けていたことから、
サイロンではその祝福された血筋を代々守っていくことが伝統となる。
魔族の侵攻などにより国が危機に陥ると、どこからとも無く銀の戦士が現れ、
国の窮地を救った、ということが度々あったことでその神秘性はより一層高まっていった。

サイロンには銀の伝説を解明するために竜術士が多く集まるようになっていき、
徐々に精霊色を強め、アルカディア大陸でも有数の竜術士国家が形成するに至った。
研究により、サイロン周辺は魔法元素であるマナの含有率がとても高く、
これが影響して豊かな土地、穏やかな気候に恵まれているという。
豊富なマナを用いられることにより竜術の発展も著しく、
浮遊大陸ヴェゼリアの竜術士ギルドの研究施設があることでも有名である。

祝福された子に対する魔族の度重なる襲撃、国家間での戦争が激化するにあたり、
サイロンは血筋を守るためにも軍の整備と国の発展を推し進めるようになる。



<竜王朝:ラオネスク>

元はディーンと1つの国家であったが、双方の発展のために分国するに至り、
ディーンが文学の中心ならば、ラオネスクは武学の中心として成立した。
しかし、名目上はそれぞれの発展のためにということになっているが、
実際にはディーンの中枢である元老院と元老院に入れなかった者達の対立が表面化し、
抗争が激化する前に分国ということになったが、現在でも多少の遺恨は残り続けている。
女神の元から離れるのを避けるという考えも多く、国力ではディーンにかなり劣ってしまう。

ラオネスク領内には竜の形を模した湖が広がり、その湖底には多くの遺跡が存在している。
さらに、地表にも大小様々な遺跡が点在しており、その関連性が調査されている。
調査によって古代文明によるものと思われる道具などが発掘され、
一部実用化されているものも出てきているという。
これら発掘品は高値で取り引きされており、
他国よりもこういった古代遺跡が多いラオネスクにとって貴重な財源となっている。

魔族との戦いで地上界の国々を導く立場になるのは我々だと表明し、
国家間の争乱に乗じてディーンの元老院や他国に対して侵攻を開始する。



<蒼の共和国:ボーフォン>

河などで入り組んだ土地に住む技術、隣接する島々への移動手段として海洋技術が発達。
カナンの建国史にも出てくるように、この付近の島には大陸には無い多くの財宝、
南の永久氷土に覆われた氷の大陸との間で採れる海産物、
魔族が本拠地を構える異形の大陸から最も遠いという地理も影響して、
近辺に移住してくる人も多く、自然と集落が出来ていった。
集落は入り組んだ河川に阻まれることで分散して成立していたが、
魔族の大規模な地上界侵攻の際に、各集落ごとに独立して防衛にあたってしまったため、
多くの集落が魔族によって壊滅されるに至ってしまう。
この状況を打開するために独立していた各集落を州としてある程度に区切り、
州の代表者が集まり全体の方向性を決定付けていくことで1つの国として機能するようになる。

アルカディア大陸の船舶技術はほぼすべてがボーフォンによって伝達されたもので、
異形の大陸や遺跡が多く眠る氷の大陸への移動手段として欠かせないものとなっている。
また、各国からボーフォンへ技術の研修に来るものも多い。
しかし、近年の大陸内での国家間の争いが激化していくことで、
他国がボーフォンでの海産物、船舶の独占など目論むことも多くなり、
ボーフォンは満場一致で他国との争いに敗れぬように富国強兵政策を進めることに決定した。



<帝國:カナン>

大陸に最も広い領地を持つ帝國カナン。
発祥は、1人の青年が珊瑚海での貿易により得た資金を基に集落を作り、
大陸内部との交易を盛んに行うことで活気溢れる街へと発展していく。
また、珊瑚海を狙う者達との戦いを続けられたことにより、軍隊を形成するに至った。
カナンの名は瞬く間に大陸中へと広がり、
貿易と軍隊を用い急速な領土拡大をしていく過程で帝國と名乗るようになる。
しかし、発展が早熟だったためか、広がりすぎた領地を維持していくことが難しくなり、
財政難の問題、領地内での争いも頻繁に起こることになっていく。
そんな中、カナン北部で新興貴族のアーゼルが勢力を拡大していき
カナンからの独立を求めてカナン戦争が勃発。
結果的にアーゼルが独立を勝ち取ったことにより、カナンの衰退は決定的なものとなる。

しかし、先の魔族の侵攻時に劣勢で追い込まれていた大陸の戦いにおいて、
帝國軍の活躍により活路を見出し大陸から魔族を撃退したことで、
帝國カナンの名は再び大陸に大きな影響力を与えるようになり、
世界を守るべく志の高い若者が集まり、カナンは再び勢力を取り戻しつつある。

先の戦いで大陸の意志を統一、そして魔族を撃退するに至ったカナンの功績を主張し、
これからの世界は帝國の名のもとに未来が約束されていく、
我らこそ世界を守護する盟主たらん国家であるという考えを持つ。



<砂漠の狼:メッカニア>

傭兵ギルドが発展して国を形成するに至った独特な国家。
大陸に襲い掛かる魔族に対しての護衛や、
国家間の争いなどに徴兵されていた大陸中の腕利きの傭兵達が、
各国との連絡の取り易さなど仕事を請け負いやすくなるように、
円滑に仕事を進めるようにするために、砂漠の山岳地帯に隠れ家のような傭兵ギルドを建設。
何もかもが上手くいっていたが、傭兵ギルド内での権力争いが激しさを増し、
内部分裂状態の抗争が長きに渡って繰り広げられるようになる。
最終的にはもっとも強い勢力が他の勢力を掌握し、
力による誰も逆らえない支配を決定的なものとする。

魔族の撃退や古代遺跡の発掘などの取り引きでメッカニア自体の収益は安定しており、
国家間の戦争のバランスを調整し戦いが常に続くように仕向けていたが、
各国の勢力が増すことで傭兵として参戦出来ることが少なくなっていき、
メッカニアの力は軽視されるようになる。
そんな中、大陸中の国々に雇われていた傭兵達が各国の情報を持ち寄り、
国々に対して侵攻することで争いを継続させる動きが活発化してくる。

メッカニアには陸・海・空の3つの分野にて特別称号を持つ傭兵が在籍しており、
あまりの強さにメッカニアの傭兵ですら彼らの存在を恐れるようになっている。
しかし、この称号は果し合いによって継承していくのが決まりで、
腕に自身のある傭兵は名を馳せるために彼らを見つけ次第決闘を挑む者も後を絶たない。



<草原の風:アーゼル>

帝國カナンから独立を勝ち取り、徐々に勢力を拡大しつつある新興国家。
カルカラド=アーゼルがカナンの帝國軍にて徐々に頭角を現していき、
指揮する隊の部下などから厚い信頼を受けるようになる。
帝國の衰退期に過酷な命令を与えられつつも黙々と遂行していくが、
この頃の帝國の政策に疑問を持つようになり、多数の部隊と共に独立を求めて帝國に対して反旗を翻す。
帝國にこの流れを止める力はなく、アーゼルの独立を認可するに至り、
事実上、帝國の衰退を決定付けた出来事となる。

カルカラド=アーゼルは豊穣な土地と大陸最大のダイヤモンドレイクから得られる特産物を背景に、
見事な政策手腕を発揮し、安定した国家を建設していく。
帝國から独立を勝ち取る要因となった強力な騎兵隊は、
広大な草原を有効活用して大陸でも有数の軍を形成するようになる。
アーゼル地方特有の偏西風のように草原を翔けることから草原の風と呼ばれる。

カルカラド=アーゼルの没後も安定した国として維持していくが、
度重なる魔族の侵攻、帝國カナンの復古、アーゼルの豊かな大地を狙う他国からの牽制などに対し
より強固な国とするために、大陸に新たな風を起こすべく立ち上がる。



<女神都市:ディーン>

アルカディア大陸の中心に位置する女神の塔。
女神を信仰する者達が集まって集落が形成され、大陸でもっとも古い都市となっている。
女神を信仰する宗教が根底にあり、宗教都市の側面も持つ。
大陸の中心に位置することで商業などの交流が盛んに行われ、
付近への街道の発達は最も優れているが、
この利便性が逆に、敵からの侵攻に弱いという面も併せ持ち、
文学に熱心な国民の性格により武力に対しての警戒心が薄く、心配する声も高まっている。
しかし、この恩恵を十分に受け、歴史ある国家の国力は大陸内で最も高く安定しており、
実際には危惧されているような事態に見舞われたことは無い。

世界を守護する女神に最も近いところに住んでいることから
他の国よりも自分達が上の身分だと考える風潮があり、
実際に、ディーンの高い生活水準の中で教育を受けさせるべく、
全世界の貴族、王族の子孫がディーンに留学してくる。
この事も自国の高い文化を背景に他の国を見下すような排他的考えに拍車をかけている。

ディーンは宗教信徒で結成される元老院によって国の方向性が決定されるようになっている。
魔族に対抗すべく地上界を先導し、女神を守護する盟主となるのは我々の役目、
という信念を抱いている者が多い。