冒険者No.208  まほろばの楼閣


胡蝶  浮舟  夕霧  螺鈿 


とりあえず。取り急ぎ。


情に流されるとは


所属国 : サイロン
クラン : Blutig Traum
種族 : アクアラ
性別 :
年齢 : 33 才
結婚 : レガール・タダズ(No.867)
ロール : 普通
貨幣価値 : 諸説あるが江戸中期で1両=約4万ほど。
揚げ代 : 部屋に通されるまでに約150万円ほど。これ以外にもいろいろ雑費がかかるので天井知らず。
廓語り : 浮舟の話
金なんぞ : どうだっていいことでありんす。惚れたわちきが好きでいたしんしたことでありぃす・・・。

キャラクター概要 : わちきにもまだひとらしき何かが
残っていたんでありんすかねぇ…。

さぁ、この手をとりさえすればぬしさんもまた
闇の住人になりんすよ…。
それでもいいと言わしゃるならば…
この世の最期まで二人で…

《三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい》


無論

他の女なんぞ見遣ったら
わかっておりんしょうね…?



男はなぜか自分の前では口数が少なかった。
「今日は…泊まっていきんすか?」
答えもまた言葉ではなくこくりと頷く。
何をするわけでもない。
ただ、たわいない話をしながら食べ、飲み、眠る。
他の者といるときの男は、お調子者で適当で。

これは私だけに見せる表情(かお)なのだろうか。
そう思うと、私の胸に懐かしい感情が湧き上る。

もう覚えていない程遠い昔にもこんなことがあったような気がする。
あの時好いた男はどんな顔を向けてくれていただろうか。
どんな声で甘いことばを囁いていただろうか。
どんな風に私を愛してくれていただろうか。
どんな腕で私を抱きしめてくれたのだったろうか。
もう、思い出そうとしても思い出せないほど遠くの記憶。

それが目の前でまどろんでいる男の顔に重なる。
ああ、ぬしさんでありんしたか。
―そのとき
――そのとき私の世界は、
――――記憶と今が重なった。

またお側においておくんなし。
わちきを置いて逝かないでくだしゃんせ…

しなだれかかる私の頭をひと撫でしたあと
いつもと同じように男は
――こくり、と頷いた。







アルカディアに突如出現した妓楼「千燈楼」の花魁。
彼は誰時(かはたれどき)から明け方までしか現れない
その遊郭のお職女郎。
並みの冒険者では揚げ代を出すことはかなわないだろう。

その他は一切謎に包まれており、正体を知るものはいない。
なにやら目的があって「こちらの世界」にきているようだ。
虜になったものは「だいじなもの」を少しずつ代価として
無くしていくらしい…。


BA55D3


わっちもいつかは花魁になりとうありんす


所属国 : サイロン
クラン : Blutig Traum
種族 : 獣人族
性別 :
年齢 : 20 才
結婚 : 未婚
ロール : 普通

キャラクター概要 : 胡蝶付きの禿(かむろ)。
まだやんちゃな盛りだが、子供だけに善悪の判断が
ついていないようなところが見受けられる。

彼女もまた闇と光のはざまに潜むモノなのかもしれない。


おや、お客さん、血相変えてどうしなすった?
…ああ、あれは猫の声でござんすよ。そう驚くことはない。
わっちも小さいころ猫を飼っておりんしたなぁ…。
ああ、わっちはこれでも小さいならが武家の出でありぃす。
まぁ、戦でとうに滅びてしまいんしたが…。家族は散り散り、いつのまにかここにいたんでありんすよ。
花魁?さぁ、いつのころからおりんすのか…。古いこともよぉッく知っておいででありんすよ。昔は素…瓶?きよ…とかなんたらにお仕えしたこともあるやらないやら問わず語りに聞いた気もいたしんすが…。
それ以上は答えてくれなんだ。
いやですよ、花魁の過去を根掘り葉掘り聞くのは野暮ってもんで。
わっちもいつか水揚げしてくださるんで?それは楽しみなこと…。
そうできるといいでありんすなぁ。
その前に、ここを抜け出せるかどうか…はい、鏡?
ああ、鏡が珍しいんでありぃすか?わっちが映ってない?
それはそれは…気がつかなんだらよかったのにねぇ…うふふ…。
大丈夫、花魁よりわっちは優しゅうござんすよ。
花魁にみつかればお客さんなぞ打掛の刺繍にされちまいます。
わっちは鏡に閉じ込めるだけ。苦しくも痛くもない。
だんだん薄くなって消えるだけ…。そしてわっちの簪の玉が増えるだけ…。
うふふ…。

目がさめたらもうあんたさんはこの世から消えておりんすよ。
いいじゃないか、もう苦しくもひもじくも寒くも暑くもないんでありぃすから…。


花魁、わっちはいつ大人になれぇすか・・・?


所属国 : サイロン
クラン : Blutig Traum
種族 : 獣人族
性別 :
年齢 : 20 才
結婚 : 未婚
ロール : 普通

キャラクター概要 : 胡蝶付きの禿(かむろ)。
おとなしいが、芯は激しいものを持っている。
早く大人になりたいと思っているようだが
彼女にもまだ先のことはわかっていない。

彼女もまた闇と光のはざまに潜むモノなのかもしれない…。


おやまぁ、そんなに慌ててどうしなすった?
ああ、螺鈿兄さんの話を聞きましたか。あい、用心棒なんて因果なものでありんすねぇ。そのせいでこうして今もここに閉じ込められたまんま…。いえ、兄さんは好きでここにいるんでしたなぁ。
わっちですか?わっちは借金のカタに親に売られした。
はぁ、同情してくださりんすか。こんな話、よくあることでありんすよ。
周りはバタバタ飢餓と病気で死んでいくし、作物は実らない。年貢も上がるばっかしで、もう親もこの世にはおりません。

あい、いつかは花魁のようにお職女郎となって、好いた殿方に身請けしてもらいたいもんでありぃす。
そのためにも日々お稽古を積んでおりんすよ。ええ、そりゃ色々と…ね。
なんとしてでも生きていたい、どんな姿になろうとも…。昔廓が火事になりんしてな。そのとき強く願いましたら、花魁が助けてくださったんですよ。
花魁はああ見えて実は庭の楓の木より古いんでござんすよ…ああ、いけない、こんなことバレたらわっちも折檻されぇす。
ああ、いつかおいらんのあの打ち掛けを着てみたいもの。ただ、あれに手を通すと…わっちのような童はこの体を保てなくなってしまいんすが…。花魁ほどにならねば着ること出来ないんでありんすよ…。あの打掛の見事な刺繍、あれのひとつひとつが花魁に命を捧げたお方の魂でできておりんすから…。

ああ、その刀に触れたらいけません。それは魔性のもんでしてなぁ。
わっちのような童しか扱えないそうでござんすよ。
おや、お客さん、いい頭の形をしておりんすなぁ。
ちょうどこの前、わっちは手鞠を無くしてしもうて。
その鞠に形がようにておりぃすね…うふふ…。

おや、もうお行きですかえ。気をつけていきなすって。
案内なしではいつ出られるやら…ふふふ…。

残念、わっちの鞠の刺繍もひとつ増えると思ったんでありんすがね…。


忘八とはよくいったものだな…。


所属国 : サイロン
クラン : Blutig Traum
種族 : レイファー
性別 :
年齢 : 40 才
結婚 : 未婚
ロール : 普通

キャラクター概要 : 「千燈楼」の用心棒。
昔話に出てきた人物に言動が似ているという噂もある。
無口だがこの仕事は気にいっているらしいことをたまに言う。

彼もまた逢魔ヶ刻のあわいに潜む魔物なのだろうか…。



――うん?胡蝶に惚れてるから俺が妓楼にいるんだろうって?
何を言うかと思えばあんたおもしろい客だなぁ。嫉妬かい?
惚れてなんかねェよ。俺がここにいるのはそんな理由じゃねぇ。
花魁てのは、本気で男に惚れたりなんぞしねェのさ。
だけど、男手はいるだろう?それで俺が引き込まれたのさ。

俺はそのころいきがってるだけのガキでな。
よく喧嘩吹っかけられたり吹っかけたり、血刀を
引っさげてここのなじみの女郎のところに居座ってたのサ。
知ってるか?血や、人斬りなんて慣れちまうんだぜ。
毎日のように血に酔って酒に酔って俺は寝てた。
眼が覚めたらそこは真っ赤な世界だったよ。
そこにあいつ…花魁がいたのサ。
俺は呼ばれたんだよ。俺もそのころすでに化け物になっちまってたんだろうなぁ。この世界に似合うといわれたのサ。


ああ、そうだ、俺が望んでいたのはこんな世界だった…。
血の匂い…肉を斬る手応え…ひくつく断末魔のわななき…。
ほら、刀が鍔鳴りしだしたろう?
あんたみたいなやつの血が欲しいってヨ…。


どうしたい?まだ話はすんじゃいねぇぜ?
そう怖がらなくたってあんたもすぐ慣れるサ。
…その前に斬られないようにしなよ…ははっ…
ああ、いっちまった…おや?
その部屋は……もう聞こえないか。深く首つっこまなきゃ
もっと長生きできたかもしれねェのに残念なこった…。

更新日:2009/11/02