キャラクター概要 : |
「次で最後ですよね。何処ですか?」 「そうなんだけど、それが」 リサが、急に言いよどんだのが気になりそちらを見やる。 「寄港してる船に運ぶ手はずになってるのよね。でも、もう間に合わないかも」 「どうしてもっと早く言ってくれないんですか!?そっちを先に運べば」 「お父さんが乗ってるのよ」 「へ?」 「私のお父さん。仕事でね、ミレトスに行っちゃうんだ。それで、暫く帰って来ないの」 それで別れを惜しんだというのか、彼女の気持ちは分からない。だが、 「でも、だったら尚更行かないとだめだ!」
リサを連れて走ったのは納屋。 少し待ってと言って暫くし、アインは出てきた。ゴムの車輪を二つ繋いだ白い鉄塊に跨って。 「乗って」
「表通りは人が多い。狭い道を通ります。しっかり捕まって!」 原理は分からない。だが、彼が”アイゼン”と呼ぶそれは彼とリサ・籠一杯の野菜を積んで尚、馬車の如き――いや、それ以上の速度で地をかける。 港が見えた。だが、船は今正に出立した所だった。港から離れて行く姿が見える。 リサが嘆息を漏らすと同時、未だ出されたままのタラップが目に入る。
「あれだ!」
柄を握り、強引にタラップを駆け上がり、アイゼンは二人を乗せたまま、 跳んだ――。
甲板に黒い弧を描き、アイゼンが停止する。 「リサ!どうしてここに」 「お父さん!」
親子の会話と潮風の音を耳に、アインは重大な事に気がついた。 「って、帰りのことを考えて無かった!?」
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