キャラクター概要 : |
元はグラリルに領地を持つ有力貴族の息子だったが、 ジャズシンガーに憧れ、浮遊大陸の高名なサックス奏者のもとへ 弟子入りするつもりで家を飛び出した。
俺はグラリルに帰ってきた。一番はじめに行く場所は、俺の実家じゃない。 婚約者のピクシィが居る、オズワルド男爵家だ。 12年ぶりになる。彼女はいったいどれだけ美しく成長したろうか!
期待を胸に門の前まで歩を進める。 俺の家より数段小さなその門には、四人の衛兵が居た。 ハンス!その中に見知った顔を見つけ、俺は歩み寄りながら声をかけた。 ハンス、僕だ。ピクシィはどこだ、会いたい、会わせてくれ。 「…何方でしょうか?」見知り顔は冷たく言った。 『誰か知らんが、面倒な野郎だな』こんな感じ
ハンス、僕だ。ウォルマール家の嫡男、ランドールだ。 ピクシィの許婚の、ランドール=フランドル=ウォルマールだ。 見知り顔は、渋い顔をして俺をじっと見てから、ああと言った。 「あの、家宝を持って逃げだしたっていう放蕩息子さんか」 あの家宝は、浮遊大陸までへの旅費にした。見知り顔は続ける。 「本当だとしても、お嬢様には会わせられないな、ランドール君」 なんだって?そいつは、どういうことだ、ハンス。俺は彼女の許婚だぞ。 「お嬢様と君は、もう許婚でもなんでもないからさ」 君は、ウォルマールのお父様から勘当されたのだ。
―――なんだって。どうして、そんな事になったんだ! 「当たり前だろ」ハンスは言った。 そもそも君は、お父様に大して期待されちゃなかった。 そこへ、数百年来の家宝を持って家出。 いまウォルマール家の嫡男は、君じゃない君の聡明な弟だ。 俺は、焦りに似た感情で顔が青くなるのを感じた。
「それに、大体」ハンスが更に言う。 お嬢様は今ここに居ないんだ。誰だろうと会えない。 婚約者の、君の弟もね。 どうして?何で、ピクシィがここに居ない?彼女のすみかに。 「書生の一人が、お嬢様を連れ去ってしまったんですよ」 ハンスではない、他の衛兵が言った。何だって―――
「仕事の邪魔だから、そろそろちょっと退いてくれ」ハンスが言う。 待ってくれ、ハンス。その糞ったれの書生と、ピクシィは一体どこへ行った? その問いにハンスは、「さあ、知らないな」とだけ答えた。
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