キャラクター概要 : |
「行っちまうんですかい」
あたしはそう言ってハーヴェイさんに話しかけました。 あたしは、ミリファ様の下僕のひとつの、骸骨でございます。
「孤児院を開くからね」 「はあ……孤児院を」
ハーヴェイさんは荷造りをしながら答えてくださりました。
「軍部のツテから仲良くなった、ある貴族に出資して貰えることになってね。 それで戦争孤児たちを養って、教育をしてやるのさ。 そのうち僕はノーベル平和賞を貰うよ」 「ノーベル…?なんですか、そりゃ」
あたしの疑念には答えず、ハーヴェイさんは黙々と荷造りを進めていらっしゃります。
「ハーヴェイさん」 「なんだ?」 「あっしが自由の身でしたら、やっぱり、ミリファ様よりあんたに着いて行きたいと思います」
一瞬ハーヴェイさんは思案した様子でしたが、こちらを振り向いてこうおっしゃりました。
「僕からそうミリファに頼もうか?僕が言えば、君を自由にするくらいはわけないだろう」 「いえ……たとい自由になっても、こんなホネだけの身じゃあ、すぐに聖印を結ばれて成仏しちまいますよ。 言いたいことはそうじゃないんです、つまり、ハーヴェイさん、 あなたに幸がありますように、ということなんです」
荷造りを終えたハーヴェイさんは、こちらを訝しげに見つめなさいまして、 そのあと、とても素敵な笑顔をお見せになりました。 そして、ありがとう、と言ってくださったのです。
「そろそろ行くよ、冒険者仲間にも挨拶して回らんといけないしね」 「お気をつけて」
ハーヴェイさんは後ろ手を軽く振ってくださりなさって、西の、アーゼル首都のほうへと、お向かいなさりました。
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